2023年3月9日〜11日に盛岡で開催された第28回日本災害医学会学術集会へ参加しました。
NPO関連の演題発表やパネルディスカッションもあり、非常に学びの多い時間となりました。
そこで改めて避難生活への備えとして、フェーズフリーな活動がどれだけ重要かを再認識しました。
日頃からできていないことは、有事の時にはできません。
それは実働的なことだけでなく、人と人との関係や繋がりなど信頼関係を築くことや、相談できる関係ができているかなど、ソフト面での備えは非常に重要です。
東京都は発災直後からフェーズで状況やニーズを整理しています。
発災直後〜発災後72時間は「命を守る72時間」と言われるように、人命救助に徹する時間とも言われていいます。それと同時に、生活再建へのフェーズが始まり、日常をいかにダメージ少なく再開できるか?が、キーポイントとなります。
災害による死亡は、災害発災により何らかの物理的な影響で命を落としてしまう「直接死」と、避難生活等の様々な健康被害により死に至る「災害関連死」かあります。
この災害関連死は「地域で防ぎ得る死」と考えます。
どうすれば防げるのか?それが、フェーズフリーな活動であり、人であります。
今回の学会では、行政と繋がる・協働するためにはどうすればいいのか?という議論が多くされていました。
これは、日頃からの顔の見える関係づくりと行政の特性を理解することが重要と考えています。
また、行政職は異動が定期的にあるため、都度、交流や意見交換が必要です。自分達の団体がどのような活動をしているか、地域の課題にも目を向けて私たちは意見交換を実施しています。
災害の混乱している中で、組織を超えた人材交流や研修・イベントを通した関係づくりが有益であるため、今後も訓練や研修会など積極的に企画・運営を行なっていきたいと考えています。
内閣府が避難生活支援・防災人材育成エコシステムの構築~地域の災害専門ボランティアの力を活かす仕組み・体系の構築~を発表し、避難生活支援リーダー/サポーター研修がスタートしました。
モデル地区から開始され、今後拡大していく予定だそうです。
これが全国に広がれば、どこで災害が起こっても対応できる人材が避難生活をサポートし、災害関連死ゼロも夢ではないかもしれません。
ただ、この制度が確立するまでには、時間がかかることはいうまでもありません。
日本の避難所環境が劣悪なのは、有名な話となっていますが改善させるためには、それに気づく人材を必要です。繋がりも必要です。他職種での連携も必要です。
私たちの団体として、事業の目的が時代のニーズにマッチしていることを再認識した学会でした。
緊急支援事業の中で、ネットワークづくりは団体として一番大切にしてきた想いです。
学会で再会した多くの方々と意見交換をする中で、このネットワークづくりがコロナ禍で止まってしまった時間を取り戻すための近道ではないかと考えています。
研修や訓練、イベントを企画し、災害時に有益なネットワークづくりを行なっていきたいと思います。